営業職の転職。30代後半の市場価値から導くキャリアアップのパターン

営業職の転職。30代後半の市場価値から導くキャリアアップのパターン

キャリル編集部

キャリル編集部

「営業職として働いているけれど、自分の年収って高いほうなのだろうか?」
「同年代・同職種の営業職は、どれくらいもらっているんだろう?」
30代も後半にさしかかり、ローンや教育費などもあるなかで、「このまま今の会社で続けるべきか」「営業職としてキャリアアップ転職を考えるべきか」が気になりますよね?
営業職の年収水準は、 企業規模・扱う商材や顧客・マネジメント経験の有無によって変わります。また、年収だけでなく、「どこまでキャリアアップできそうか」「今の経験がどう評価されるか」も見逃せないポイントです。
この記事では、厚生労働省の統計や転職サービスのデータ、求人の傾向などをもとに、30代営業職の年収相場や、営業職経験者の「転職市場価値」とマネージャー経験や資格・スキルがどのように評価されるか、そして30代後半から取り得るキャリアアップパターンとその進め方について、わかりやすく整理します。

自身の市場価値を客観的に把握しよう

「このまま今の会社で続けるべきか」「営業職としてキャリアアップ転職を考えるべきか」が気になってきたら、まずは自分の現在地を客観的に知ることが大事です。主に次の2点がわかると判断しやすくなります。

  • 自分の年収が、同じくらいの規模の会社に勤める人たちと比べてどのあたりか
  • 自分の年代(30代)全体の平均と比べて、高めなのか・低めなのか

まずは、企業規模別と年齢別の平均年収を見て、自分の年収がどの位置にいるかを確認してみましょう。

企業規模別の平均年収

営業系全体の平均年収は約476万円とされています。
出典:「平均年収ランキング(職種・職業別の平均年収/生涯賃金)【最新版】年収の高い職業は? |転職ならdoda(デューダ)」
一方、全職種ベースのため参考値ですが、2024年時点でフルタイムで働く男性の所定内年収はおおよそ次のとおりです。

  • 大企業(従業員1,000人以上):約480万円
  • 中企業(100〜999人):約432万円
  • 小企業(10〜99人):約384万円

※ここでの年収は、所定内給与(月給)×12か月分を目安として算出したものです。
出典:「企業規模別にみた平均的な賃金は?|生活基盤の安定を図る生活設計|ひと目でわかる生活設計情報|公益財団法人 生命保険文化センター」

年齢別の年収レンジ

年代別の平均年収はおおよそ以下の通りです。出典:「平均年収ランキング(職種・職業別の平均年収/生涯賃金)【最新版】年収の高い職業は? |転職ならdoda(デューダ)」

  • 20代:406万円前後
  • 30代:528万円前後
  • 40代:618万円前後
  • 50代〜:683万円前後

一方で、厚生労働省の賃金構造基本統計調査からは、フルタイムで働く男性全体の賃金カーブとして、40代〜50代でピークを迎える傾向が示されています。出典:令和6年賃金構造基本統計調査 結果の概況|厚生労働省

年齢階級 男性(千円/月) 女性(千円/月)
~19 203.6 191.3
20–24 234.2 230.6
25–29 274.7 258.1
30–34 316.3 271.6
35–39 352.3 284.3
40–44 385.5 288.4
45–49 416.0 298.0
50–54 428.2 295.4
55–59 444.1 294.0
60–64 344.7 259.9
65–69 294.3 234.0

この調査は営業職に限定したデータではありませんが、

  • 年齢が上がるにつれて賃金が上昇
  • 40代〜50代がピーク

という流れは、営業職でもおおむね似たカーブを描いていると考えてよさそうです。
したがって、30代後半の営業職であれば、「自分の今の年収が、30代営業職平均に対してどの位置か」「同じような規模・業界の企業にいる営業職と比べて、大きくズレていないか」を一度チェックしてみると、今後のキャリアアップ転職で目指す年収ラインを考える1つの基準になります。

営業職経験者の「市場価値」が判断されるポイント

転職サービスや求人情報を見ると、企業が営業経験を評価するときには、次のような観点で判断されていることが多いようです。

  • 業界・商材の種類
  • 日用品、住宅設備・建材、医療機器などの有形商材
  • IT/SaaS、金融、コンサル、人材などの無形商材
  • 顧客
  • 個人向け(toC)か、法人向け(toB)か
  • 中小企業メインか、大企業・官公庁が中心か
  • 扱う金額・単価
  • 単価が大きく、長期の案件をマネジメントする営業職ほど、マネージャー候補として評価されやすい
  • マネジメント経験
    • 何名規模のチームを何年くらい見ているのか
    • 目標達成率や、新人育成などの経験があるか

特に、法人営業+マネジメント経験は、どの業界でも需要が高く、求人票でも「法人営業経験3年以上」「3〜10名程度のマネジメント経験」などが求められるケースが多く見られます。

同業他社・関連業界の営業職に移った場合の年収相場

「今の会社のまま昇進するか、同業他社・関連業界に移るか」を考えるとき、業界ごとの年収相場を知っておくと判断しやすくなります。
営業系職種の平均年収は、2024年時点で次の通りです。出典:doda「職種別の平均年収ランキング

  • MR:764万円
  • 医薬品メーカー営業職:552万円
  • 銀行営業職:515万円
  • 機械/電機メーカー営業職:500万円
  • IT/通信営業職:478万円

営業職経験者がキャリアアップしやすい業界・企業タイプ

同業他社や関連業界への転職で「キャリアアップ」を狙う場合は、同じ営業職のなかでも平均年収が高めの領域や、今後もニーズが続きそうな業界を押さえておくことが大切です。

転職サービスdodaの調査の数字を見ると、医薬品・金融・機械/電機・IT/通信といった領域は、営業系全体の平均(約476万円)よりも、高い年収レンジが期待しやすい領域と言えそうです。

ただし、MRや医薬品営業、銀行営業などは、専門知識や資格が求められるケースが多く、30代後半から完全な未経験で飛び込むと、最初は年収横ばい〜やや下がる可能性もある点には注意が必要です。

求人票から分かる、営業職マネージャー経験が求められるポイント

実際の「営業マネージャー」「営業所長」「セールスマネージャー」といった求人票を見ていくと、共通して求められているポイントがいくつかあります。
代表的には、次のような内容です。

  • 法人営業経験◯年以上(3〜5年程度が多い)
  • 数名〜十数名規模のマネジメント経験
    • 営業チーム5〜10名のマネジメント経験、拠点長としての実績など
  • 売上・利益などのKPI達成実績
    • 年間で◯%成長させた、エリア売上を◯億円から◯億円に拡大した など
  • 育成・採用への関与
    • 新人教育、OJT、評価・フィードバック面談の経験
  • 組織づくり・仕組み化への取り組み
    • 営業プロセスの標準化、インサイドセールス/フィールドセールスの分業、CRM導入など

30代後半で数名程度の部下をマネジメントされている方であれば、

  • どのようなKPIでチームを見てきたか
  • どんな壁があり、それをどう解決したか
  • 新人・中堅・ベテランそれぞれにどう関わったか

といった具体的なエピソードを棚卸ししておくことで、マネージャー候補としての市場価値をアピールする土台ができます。

営業職としてキャリアアップする際に評価されやすい資格・スキル

営業職の場合、「資格があれば即年収アップ」というよりも、業界にフィットした資格やスキルがあると、選考で有力な候補者となる可能性が高まります。
代表的なものを、いくつか挙げておきます。

宅地建物取引士(宅建)

不動産・建設・住宅設備系の営業職では、求人票で「宅建保有者歓迎」とされているケースが非常に多く見られます。契約や法令に関わる知識を持っていることを示せるため、営業職経験に加えて、「業界理解のある営業職」として見られやすくなるのが強みです。

とくに、住宅や不動産まわりの商材を扱ってきた人にとっては、これまでの現場感覚と資格の内容がつながりやすく、学んだ知識を実務に落とし込みやすい資格と言えます。企業によっては資格手当の対象になることもあり、転職時の評価だけでなく、入社後の待遇面にプラスに働く可能性もあります。

ファイナンシャル・プランナー(FP)

住宅ローン、保険、投資信託などを扱う金融・保険系の営業職では、「ライフプランニングの提案力」の証明としてプラス材料になりやすいです。

TOEIC・英語力

海外メーカー、グローバル展開している企業の営業職では、TOEICスコアを応募条件や歓迎要件にしている求人も多く、「海外担当」「海外拠点との折衝」が視野に入ると、年収レンジが一段上がるケースがあります。海外拠点とのメール対応、英文資料の確認、海外製品の説明資料の読み込みなど、日常業務の一部に含まれていることもあります。

そのため、英語力は、応募できる企業の幅を広げるための武器として考えると分かりやすいです。特にメーカー営業職では、取り扱う製品や部材が海外由来であるケースもあるため、一定の読解力があるだけでも強みになる場合があります。

もちろん、TOEICの点数だけで採用が決まるわけではありませんが、営業職経験に加えて英語力があると、「将来的に海外案件や広域担当も任せられそうだ」と見てもらえる余地が生まれます。キャリアアップの選択肢を増やす意味で、相性のよいスキルの一つです。

IT関連の基礎資格・ツールスキル

ITパスポート、SalesforceなどのCRMツール経験、Excel/PowerPointの実務スキルなどは、IT/SaaS企業の営業職や、企画系業務を兼ねるポジションで評価されやすいです。理由は、営業活動を「数字や仕組みで再現できる人材」が求められやすくなっているためです。

たとえば、CRMを使って案件進捗を管理した経験がある、Excelで売上やKPIを整理できる、PowerPointで提案資料を自分で組み立てられる、といったスキルは、業界を問わず実務に直結します。

大切なのは、「資格の数」そのものより、「狙いたい業界・ポジションとの関連性」です。
今の業界を軸足にキャリアアップするのか、メーカー→ITなど近い業界へ広げるのかによって、優先して取るべき資格・スキルも変わってきます。

30代営業職が取り得る3つのキャリアアップパターン

30代後半でキャリアアップを考えるときは、「今の会社に残ってポジションと年収を上げていく」という選択肢も外せません。まずは現在の会社でどこまで伸ばせそうかを整理したうえで、転職と比較していくほうが、納得度の高い判断がしやすくなります。

現在の会社で昇進・役割拡大を目指す

いちばん生活の変化の予想がつきやすいのはこのパターンです。以下のようなことを一度クリアにしておくと、「あと何年くらい今の会社で頑張るか」の見通しが立てやすくなります。

  • 会社の等級制度や職位ごとの年収レンジを確認する
  • 次のポジション(次長・部長など)でどれくらい年収が上がるのかを把握する
  • 評価制度(何を達成すれば昇進・昇給の対象になるのか)を上司とすり合わせる

メリットは、

  • 社内での信頼・実績がある分、昇進の確度が読みやすい
  • 仕事の進め方や人間関係が分かっているので、生活リスクが小さい
  • 住宅ローンや教育費を抱えた状態でも、急激な変化になりにくい

といった点が挙げられます。

一方で、

  • 会社全体の給与増減幅自体が低い場合、どれだけ昇進しても年収の上限が低い
  • 成長業界への乗り換えと比べると、年収アップのスピードはゆるやかになりがち という点もあるため、「あと5年ここで頑張るなら、40代でどのポジション・年収帯まで行けそうか」を見極めることが重要です。

同業他社の営業職、他の種類(商材・顧客・単価)の営業職に転職する

このパターンは、キャリアアップ(年収・ポジション)とキャリアチェンジの中間のようなイメージです。
例:

  • 企業規模の変更:同じ住宅設備メーカー→大手・高利益の会社
  • ターゲットの転換:個人向け営業(BtoC)部門→法人向け(BtoB、ゼネコン・ディベロッパー等)部門
  • 案件規模の拡大:中小企業向け→大企業・官公庁向けの提案営業

この場合、営業スキル(ヒアリング、提案、クロージング、案件管理)はそのまま流用できます。また、扱う商材や顧客の規模が大きくなるほど、1件あたりの売上や担当売上高が増え、評価される金額のインパクトも大きくなりやすいです。

一方で、商材や業界構造の学習コスト、営業スタイル(訪問/オンライン、出張の多さなど)により働き方が変わる可能性もあるため、「どの程度まで環境変化を許容できるか」を家族とも相談しておく必要があります。

営業職以外の職種(CS、企画、管理部門など)に転職する(キャリアチェンジ)

最後の項目は、キャリアアップというよりキャリアチェンジとなります。比較的営業職と関連性が高く、経験が活きやすいのは、次のような近接職種です。

カスタマーサクセス(CS)・アカウントマネージャー

既存顧客のフォローやアップセルが中心で、営業スキルが活かせる領域です。顧客の課題を把握し、長く使ってもらうための提案を行う点で、営業経験との親和性が高い領域と言えます。

営業職との違いは、導入後の成果や満足度まで見ていく役割が強いことです。そのため、ヒアリング力や提案力に加えて、顧客の状況を継続的にフォローする力が求められます。より顧客と長く関わる仕事にシフトしたい人に向いています。

営業企画・事業企画

営業数字の分析、キャンペーン企画、価格戦略など、「現場の感覚」+「数字への強さ」が活かせる領域です。現場と経営の中間に立つような役割を担うことが多くなります。

営業職経験者がこの領域で強みを発揮しやすいのは、現場で起きている課題を理解したうえで企画を立てられるからです。「営業職が動きやすい施策か」「顧客にとって現実的か」といった視点を持ち込めるのは大きな強みです。より広い視点で事業や組織に関わりたい人に向いています。

管理部門(営業管理・業務企画など)

SFA/CRMの運用、見積・受発注フローの改善など、営業職を裏側から支える領域です。

営業現場を経験している人であれば、「現場がどこで困るのか」が分かるため、改善ポイントを見つけやすいという強みがあります。また、数字管理や業務改善が得意な人にとっては、営業職を続けるのとは違った形で組織に貢献しやすい仕事です。表に立って売るよりも、仕組みや運用を整える側に関心がある場合は、検討しやすい方向性でしょう。

これらは、必ずしも「すぐに年収アップ」というより、長期的にポジションやキャリアパスの幅を広げる40代以降に「プレイヤーを続けるか/企画・管理側に回るか」の選択肢を確保することにもつながり、営業職としてのキャリアアップと並行して検討するイメージに近いかもしれません。

30代後半のキャリアアップ転職の進め方

情報収集から面接や試験、条件交渉、内定までの流れ

大まかなステップは、次のようになります。

1. 現状整理・棚卸し

まず、職務経歴書に書けるよう、売上・達成率などの数値と、担当した役割(新規/既存、エリア、マネジメント範囲など)を整理します。
そのうえで、「今の会社で昇進した場合の年収・ポジション」と、「転職した場合に狙いたい年収・ポジション」の仮説を立てておきましょう。

2. 業界・ポジションのリサーチ

次に、転職サイトなどで、自分と近い経歴の求人の年収レンジを確認し、想定される年収レンジやポジションを確認します。本記事で紹介したような、年収ランキングや初年度年収レポートも参考にしながら、「自分が現実的に狙えそうなポジション」をイメージしていきます。

3. 転職エージェント・求人サイトへの登録

方向性がある程度見えてきたら、転職エージェントや求人サイトに登録します。各社の調査によると、直近の転職経験者のうち約5割が転職エージェントを利用しているとのデータもあります。書類添削や年収交渉、非公開求人の紹介など、30代後半でのキャリアアップ転職ではエージェントの活用メリットが大きいです。

4. 応募・選考(書類選考〜面接・適性検査など)

この段階では、「なぜこの営業職でキャリアアップしたいのか」「なぜその業界・会社なのか」を一貫したストーリーで語れるかが鍵になります。職務経歴書と面接で伝える内容にズレが出ないよう、事前に自分の言葉で整理しておきましょう。

5. 条件交渉・内定承諾

内定が出たら、年収だけでなく、残業時間・勤務地・リモート可否・評価制度などを含めて比較検討します。「譲れない条件」と「妥協できる条件」を整理したうえで、現職に残る場合のキャリアパスとも比べながら、家計やライフプランにとって納得感のある選択肢を選ぶことが大切です。

転職サイトやエージェントを活用するポイント

転職サイトは、自分のペースで市場感をつかむために使うのがおすすめです。
希望勤務地・年収・職種(営業職)などを指定し、実際に掲載されている求人の年収レンジや募集要件を眺めることで、 自分の経験で狙えそうなレンジや、どの業界・会社が高年収帯かのイメージがつかみやすくなります。dodaやマイナビ転職などでは、職種別・業種別の平均年収データも公開されており、市場全体の水準を把握するのにも役立ちます。

また、職務経歴や希望条件を登録しておくと、企業やエージェントからスカウトメールが届くサービスも多いです。スカウトの「件数」や「提示されている年収帯」を見ることで、現時点の市場評価のざっくりした目安をつかむことができます。

さらに、しばらく求人票を見て、「本気で応募してみたい」と思える求人がどれくらい出てくるかを確認するだけでも、今すぐ転職すべきか、もう少しスキルを積んでから動くべきかの判断材料になります。

エージェントは「求人を紹介してくれる人」ではなく、「一緒にキャリアプランを考える相手」として活用すると効果的です。希望条件は「絶対条件」と「できれば」に分け、現職の年収テーブルや昇進見込みも伝えたうえで、「転職しない」選択肢も含めて相談してみましょう。

面談では「年収いくら欲しいか」だけでなく、「5年後にどうありたいか」「残業や出張をどの程度まで許容できるか」なども共有しておくと、自分に合う求人を提案してもらいやすくなります。

エージェント利用者には「自分では見つけられなかった求人を紹介してもらえた」「年収アップに繋がった」という声もあり、年収アップと情報収集の両面でプラスに働きやすいことが分かります。

家計・ローン等の条件を踏まえた「譲れない条件」の整理

最後に、キャリアの重要な時期であり、子育てなどライフイベントも重なりやすい30代後半の転職では、家計の前提を踏まえた「譲れない条件」の整理が欠かせません。
例えば、

  • 手取りベースで月いくらあれば、ローン・教育費・生活費をカバーできるか
  • 残業時間は月何時間までなら家族の負担と折り合いがつくか
  • 単身赴任や長期出張をどこまで許容できるか といったラインを、配偶者とも共有したうえで決めておくことが重要です。

まとめ

30代営業職の年収は企業規模や業界・ポジションによって大きく変わり、平均すると500万円台前半〜中盤程度が一つの目安です。

キャリアアップを目指すなら、市場データで自分の立ち位置を把握しつつ、営業スキルとマネジメント経験を磨き、家計と両立できる条件を整理することがポイントになります。
数字や制度の実態を手がかりに、「自分と家族にとって無理なく続けられる」営業職キャリアのパターンを選んでいきましょう。